5月も後半になり、すべての地域で緊急事態宣言が解かれました。
みなさんの会社もお仕事を再開したと思います。

これまでお客様と直接会って話す訪問・対面スタイルの営業をしてきたと思いますが、これからのウィズコロナ時代に同じように続けていけるのでしょうか?

いままでは「まず会って話してから」という営業のスタイルでしたが、コロナ感染予防からテレワークが浸透した現在、営業の方法も変わっていく可能性が高いです。

そもそも、わたしが若い頃にさせられていたアポ無しの飛び込み営業は、肉体的・精神的な負担がとても大きかったです。だから、わたしはすぐに挫折しました。
そして、アポ無しの訪問営業は成功率がかなり低いうえ、その場だけの長くお付き合いできるようなお客様を獲得することもほとんどありません。電話営業やFAX・メール営業も同じで、「数撃ちゃあたる」スタイルです。

こうした非効率な営業方法に疑問をもつ人も多いかと思います。これだけインターネットが発達し、AIが台頭してきた時代に人海戦術で営業するのもおかしな話だと思いませんか?直接訪問したり、対面で営業するのが当たり前だった前衛的な過去の営業。

 インターネットが発達した現在「営業しない営業」が行う企業が出てきました。
それが「インバウンド営業」。今回はこの「インバウンド営業」について解説します。  

これまでの営業スタイル

昭和の時代の営業は、足で稼げといわれ、一日に何件も飛び込みする営業スタイルでした。
しかし、それはモノが売れていた時代だからこそできた営業方法でバブルが終わりモノが売れなくなってきても、しばらくはこのスタイルこそが王道と言われ続けられてきました。

過去の営業は効率が悪い

しかし、さすがにこの営業スタイルは非効率すぎたので、現在では訪問営業や飛び込み営業はも衰退していきました。近年では電話やメールでアポイントをして、それから訪問するケースが多いです。また、チラシや広告などのメディアを使って広告し、ユーザーにアピール。興味をもっていただいたお客様にお問い合わせをもらいます。こうしてお問い合わせをいただいたお客様や来店したお客様に直接対面で営業します。

製品を買ってもらうために、契約を成約するためにお客様と対峙して、カタログを片手にセールストークを繰り広げます。そして最後はクロージングに持っていく。こうしたやり方がこれまでの主流でした。

「営業」というと体力や根性、声の大きさが物を言うようなイメージをされる方も多いかと思います。ユーザー側からすると、対面する安心感・信頼感があり、営業側からすると製品やサービスとは別に自分の誠実さや親切さを売り込んだりすることができました。

インターネットがビジネスに普及する前は、お客様には商品やサービスの情報が少なく、各社の営業を呼んで、それぞれの商品の情報を聞いていました。各社からそれぞれ見積もりをもらって、どの商品が良いか検討し、購入する流れです。

インターネットから生まれた営業

しかし現在では、誰でもインターネットを使って情報を集めることができます。自分で集めた情報で商品を比較することもできるし、モノによっては価格も検討できます。こうなると、営業を通さないでインターネットの情報から直接商品を購入することが増えてきます。
インターネットを使ってたくさんの情報を知ることができるようになったので、営業が動かなくとも商品が売れるようになったのです。インターネットで検索すれば精度の高い情報が手軽に手に入るります。製品やサービスの比較検討もできます。ブログやSNSでは実際の使用感や体験談など生の声が聞けます。

これはBtoBの取引でも同じで、企業の担当者は営業を呼んでカタログをみたり説明を聞いたりすることは少なくなり、直接購入するようになりました。つまり、これまでの営業側から働きかけるスタイルが機能しなくなったのです。

これが「営業しない営業」、インバウンド営業です。
インターネットの影響で営業の仕事のあり方を見直す必要が出てきたのです。

営業をしないインバウンド営業 

インバウンド営業は、そもそも表立って企業からは営業はしません。
Webサイトやオウンドメディア、SNSといったメディアを使って製品の使い方や使用例、便利な使い方やアイデアなど、ユーザーに商品を知ってもらうためのコンテンツを発信し、潜在ユーザーに訴えかけます。

顧客ファーストの営業方法ともいうのでしょうか

営業側が押し付けない、強引に購入させない。これは売る側も買う側もメリットが多いです。そしてこうした営業方法はWebマーケティングと相性が良いです。
Webメディアを巧みに使うインバウンドセールスは、ユーザーの役に立つことを発信することからスタート。続けていくことで徐々に見込み客の信頼を得ていきます。そのため、売ることにこだわりません。人に役に立つ情報を提供し好まれることがポイントです。

ロビンソンで例えると

ブログで、お客様の集客活動に役に立つ情報を発信
→Web集客やSEO対策の顕在ニーズを獲得する
→実績や効果、料金などを公開することで信頼を得る
→お客様が集客で困ったときに頼りにしていただく
→お問い合わせ等をいただく
→解決策をご提案
→ご契約

このようにインバウンドセールスは従来の営業方法とはまったく逆になります。

これまでの「勢い」と「熱血漢」の営業スタイルから、冷静沈着な頭脳的な営業と代わります。

多くの企業で取り入れられる流れに

コロナによる経済への影響がまだなかったときは、日本国内ではインバウンドセールスはそれほど浸透していませんでした。
Hubspot Japanによる「日本の営業に関する意識・実態調査」によると、日本のインバウンドセールスの導入は11.6%、アメリカの47.2%、欧州の37.1%に対し大きく遅れを取っています。その原因として、日本人は「直接会って話をすること」に、大きな価値を感じているようです。

出典:Hubspot Japan「日本の営業に関する意識・実態調査」

「営業担当者に自社を訪問してほしい」と回答した70.6%の経営者・役員・会社員のうち、「顔を見ずの商談には誠意を感じない」が35.2%、「営業担当者の顔を見ると安心感がある」が30.1%と、顔を見ないと安心できないという気持ちが強いようです。

しかしながら、コロナにより環境が一転。今の日本ではテレワークが求められ、人と人との接触も制限されるようになりました。そのため、インバウンド営業はこれからますます注目される営業スタイルなのです。

みなさんが感じているように、インターネットの存在はますます重要視されていきます。そしてデータを活用した効率的なインバウンド営業はコスト削減と人手不足を解消してくれます。
欧米での浸透率を考えると、これから日本の多くの企業で取り入れられていくと思います。

インバウンド営業を上手に活用するコツ

インバウンド営業は、企業からではなくユーザーから企業に働きかけてもらうスタイルです。

狩りではなく釣りに近いスタイルと考えていただければ想像しやすいかと思います。

インバウンド営業の方法

企業ホームページ・Web広告・オウンドメディア(ブログ・Webマガジン・メールマガジン)・SNS・ セミナーなどを活用して、便利な使い方や製品レビュー、使用スタイルの提案といったユーザーに有益な情報を発信して、ユーザーに興味を持ってもらい購買意欲をくすぐります。最終的には製品やサービスの購入が目的です。

インバウンド営業では、ユーザー側からこちらにアプローチしていただく営業スタイルなので、これまでの営業よりはるかにその成約率は高く、効率が良いものになっています。

そのため見込み客の獲得こそがインバウンド営業のコツ 中小企業や個人事業主はセミナーやイベント、SNS ブログなどで定期的に情報を発信し見込み客獲得に注力してください。

臨機応変な対応を

ただ、まったく対面営業をしないかというとそうでもないと思います。

前述したように、日本人は対面してこそ信頼や安心を得ます。そのため、インバウンド営業はフックとしてはWebメディアを利用してユーザーからのアプローチをいただきますが、その後の対応はアポ訪問であったり電話であったりメールであったりさまざまだと思います。お客様との対応は臨機応変に、工夫してみてください。

ロビンソンのインバウンド営業